明日も、コンビニ裏で
美園の言葉を気にしつつも、掃除が終わるとあたしは速攻学校を出て自転車を飛ばした。
どうにもならない関係は、どうでもいい関係。
たしかにそうかもしれない。
今更かしこまって告白なんてできる間柄じゃないし、そうしたいとまでは思えないから。

いつものコンビニ裏に自転車を止める。
アイスコーナーに、おじさんがいた。
「お」
片手を挙げて、にっと笑う。
わたしが近づくと、
「なんかおすすめ、ある?」
と訊いてくる。今日はチョコミントの気分じゃないようだ。
「あー、えっとね…」
あたしも今日は何か違う味を食べたい気分だった。
「これとか、濃厚でおいしいかも」
チーズケーキプレミアム、というわたしのお気に入りを指し示すと、おじさんはそれをひょいとふたつ取ってレジへ持って行った。

自転車置き場は日陰だけれど、それでもとても暑く感じる日だった。アイスの溶けるスピードが違う。
「ん、これはうまい」
「でしょう」
そう言い合ってから、わたしたちはしばらくアイスを食べるのに集中した。
「おじさん、いくつ」
今日はこちらからたくさん質問しようと決めていた。
「41。もうすぐ42」
うわ。25歳も年上だ。
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