自分の足と恋人繋ぎ
5(雪見春樹)
「次はつくった歌
歌おうかな…」
「おぉ!そんなんまで出来るの?」
「…うん」
二川さんは両膝に手をぽんとのせて
お行儀よく座った様な素振りを見せると
「聴きたい聴きたい」
と少し前屈みに
僕の方に顔を近づけて少し微笑んだ
まっすぐな目が
瞬間的に僕を少し緊張感させて
その後ゆっくりと
…高揚させた
「」
僕は曲名をぼそっと呟いて、
もうちょっとはっきり言ったらよかったかな…と少し思った
次のコードを考えなくても、
指が勝手に進んでいく
そんな風なら良いのだけれど
そうもいかずに
観客の居ない、
騒がしい、通行人ばかりの通りに
つい気をとられて僕のギターは
途切れ途切れだ
「
…
ぽーと鳴った昼のおと
まばらな模様
たいくつな昼休み
誰かが言う
「みんな帰ってこないね」って
単語のテストは及第点で
静かな僕らは取り残された
最後の一粒箸でさらったら
この教室から
四角い部屋 右の隅
廊下側の後ろから二番目
ドアから隙間風
みんなの影絵と白い机
アウトラインの向こうに空
窓をみたってどこへも行けない
廊下に出たって
なにができるわけでもないし
でも、目をつぶれば
きっちりしたものいらない
しっかりしたひときらい
てきとうでいれたら
四角い部屋はとろみを増す
どろりどろりと溶けていく
校舎につたった教室が
地面について
微睡んだらいい
雀の声
雲
ちょっと優しい
昨日の僕
ちょっと真面目な
おとといの僕
誰かのことなんて考える余裕はなくて
でも誰かに
優しいって思われる僕
正しいって思われる僕が良かったなぁ
ちょっと気を遣ったんです
ちょっと誰かの為を思った気がしたんです
でも、もしかしたら
って気もしたんです
あーあーあーあー赤っ恥
何かを気にしたその1秒から
みんな
針の様に見えます
廊下を走った
昨日
細い道を帰る
今日
あーあーあーあー赤っ恥
昼間の空はそこにあるだけ全部
あーあ
かっこ良くなりたい 」
歌い終えた僕は
ギターを置いて、、
帰ろうか?と笑った
歌おうかな…」
「おぉ!そんなんまで出来るの?」
「…うん」
二川さんは両膝に手をぽんとのせて
お行儀よく座った様な素振りを見せると
「聴きたい聴きたい」
と少し前屈みに
僕の方に顔を近づけて少し微笑んだ
まっすぐな目が
瞬間的に僕を少し緊張感させて
その後ゆっくりと
…高揚させた
「」
僕は曲名をぼそっと呟いて、
もうちょっとはっきり言ったらよかったかな…と少し思った
次のコードを考えなくても、
指が勝手に進んでいく
そんな風なら良いのだけれど
そうもいかずに
観客の居ない、
騒がしい、通行人ばかりの通りに
つい気をとられて僕のギターは
途切れ途切れだ
「
…
ぽーと鳴った昼のおと
まばらな模様
たいくつな昼休み
誰かが言う
「みんな帰ってこないね」って
単語のテストは及第点で
静かな僕らは取り残された
最後の一粒箸でさらったら
この教室から
四角い部屋 右の隅
廊下側の後ろから二番目
ドアから隙間風
みんなの影絵と白い机
アウトラインの向こうに空
窓をみたってどこへも行けない
廊下に出たって
なにができるわけでもないし
でも、目をつぶれば
きっちりしたものいらない
しっかりしたひときらい
てきとうでいれたら
四角い部屋はとろみを増す
どろりどろりと溶けていく
校舎につたった教室が
地面について
微睡んだらいい
雀の声
雲
ちょっと優しい
昨日の僕
ちょっと真面目な
おとといの僕
誰かのことなんて考える余裕はなくて
でも誰かに
優しいって思われる僕
正しいって思われる僕が良かったなぁ
ちょっと気を遣ったんです
ちょっと誰かの為を思った気がしたんです
でも、もしかしたら
って気もしたんです
あーあーあーあー赤っ恥
何かを気にしたその1秒から
みんな
針の様に見えます
廊下を走った
昨日
細い道を帰る
今日
あーあーあーあー赤っ恥
昼間の空はそこにあるだけ全部
あーあ
かっこ良くなりたい 」
歌い終えた僕は
ギターを置いて、、
帰ろうか?と笑った