真の魔性の女は、色気がない
「相手って、消防士らしいよ。」
「ああ、そうみたいだねー。」
「よく、やるよねー。さすが、魔性の女」
「その割には、色気とかなくない?」
「分かるー、魔性の女って、高岡○紀みたいな人の事を言うんじゃないの?」
「えー、でも、後藤さんが言ってたんだよ。ミエちゃんはその気じゃなくても、ミエちゃんのことを彼女だと思ってる男は、周りにいっぱい居るって。そういう勘違いさせる女って、魔性の女ってことじゃん!」
「ああ、確かに、大島も勘違いしてそうだったよねー、じゃなきゃ三十万もあげないでしょ。」
確かにー、爆笑が起きた。
ああ、何で僕は、いつもこんな噂を聞いてしまうんだ。トイレから出てきたところで、つい、聞いてしまった。
「えー、でも、大島さん優しくて、いいじゃないですか?私結構すきかも。」
えっ?今の声は、誰のだろう?
少しだけ、転職を思いとどまった。
事務所に戻ると、後藤さんに聞かれた。
「大島君、まだ、辞めないよね?」
「勿論です!」
魔性の女に振り回される男は、大概ゲンキンな奴が多い。