隣は何をする人ぞ~カクテルと、恋の手ほどきを~
「私、おかしいですか? 気合入れすぎですか?」
「むしろ、気合入れてくれて嬉しいけど」
「五十嵐さんの好みってどんな服ですか?」
「なに? 俺の好みの服着てくれるの?」
五十嵐さんが、ちょっとだけ意地悪そうに、片方の口の端を上げてニヤついている。
やらしい服とか言い出しそうで、「はい」と返事ができない私の動揺を見て、今度は意地悪を引っ込めて破顔した。
駅までは徒歩で。そこから電車にのって、都内の人気エリアまでやってきた。
私たちのマンションがある最寄駅から何個か先の駅だけど、その雰囲気はがらりとかわる。近くに高級住宅街があるお洒落な街だ。
「とりあえず飯な。和食、フレンチ、イタリアン、中華。はい、どれがいい? 十秒以内に答えて」
「え、え、えっ……じゃあイタリアン!」
私は考える暇もなく、早押しのクイズ感覚であわてて答えた。
「ならこっちだ、行こう。ピザのうまい店があるから」
五十嵐さんは、もう店を決めていたようで、悩むことなく歩き出した。
もし、私が中華や和食を選んでもいいように、店をリストアップしてくれていたということなのか。それだけデート慣れしてるってこと? それともただの食通? できれば後者であってほしい。そう願ってしまう私は、とても自分勝手かもしれない。五十嵐さんとの人生の経験値の差は、埋められるものではないのだから。
連れて行ってくれたのは、本格的な窯で焼き上げるナポリピザの店だ。二人でシェアしたピザもパスタも、とても美味しかった。
食事を終えた五十嵐さんは、もう一度メニューを開いた。食べたりなかったのかと思ったら、そうではなく、後ろのページを広げて私に見せてくれる。
「デザート食おうか? うまいぞ。俺は食べる」
「じゃあ私も!」
当然、甘い物が大好きな私はすぐに同調する。
お店はおしゃれで、この前のラーメン屋よりも、ずっとデートの雰囲気がでている。でも、私は今、変に気取ったりしないで、素のままでいられる。
店選びで決められなくて返事に迷ったり、食べたいデザートを相手に合わせて、我慢することもさせてもらえない。五十嵐さんの隣は心地が良すぎだ。
「むしろ、気合入れてくれて嬉しいけど」
「五十嵐さんの好みってどんな服ですか?」
「なに? 俺の好みの服着てくれるの?」
五十嵐さんが、ちょっとだけ意地悪そうに、片方の口の端を上げてニヤついている。
やらしい服とか言い出しそうで、「はい」と返事ができない私の動揺を見て、今度は意地悪を引っ込めて破顔した。
駅までは徒歩で。そこから電車にのって、都内の人気エリアまでやってきた。
私たちのマンションがある最寄駅から何個か先の駅だけど、その雰囲気はがらりとかわる。近くに高級住宅街があるお洒落な街だ。
「とりあえず飯な。和食、フレンチ、イタリアン、中華。はい、どれがいい? 十秒以内に答えて」
「え、え、えっ……じゃあイタリアン!」
私は考える暇もなく、早押しのクイズ感覚であわてて答えた。
「ならこっちだ、行こう。ピザのうまい店があるから」
五十嵐さんは、もう店を決めていたようで、悩むことなく歩き出した。
もし、私が中華や和食を選んでもいいように、店をリストアップしてくれていたということなのか。それだけデート慣れしてるってこと? それともただの食通? できれば後者であってほしい。そう願ってしまう私は、とても自分勝手かもしれない。五十嵐さんとの人生の経験値の差は、埋められるものではないのだから。
連れて行ってくれたのは、本格的な窯で焼き上げるナポリピザの店だ。二人でシェアしたピザもパスタも、とても美味しかった。
食事を終えた五十嵐さんは、もう一度メニューを開いた。食べたりなかったのかと思ったら、そうではなく、後ろのページを広げて私に見せてくれる。
「デザート食おうか? うまいぞ。俺は食べる」
「じゃあ私も!」
当然、甘い物が大好きな私はすぐに同調する。
お店はおしゃれで、この前のラーメン屋よりも、ずっとデートの雰囲気がでている。でも、私は今、変に気取ったりしないで、素のままでいられる。
店選びで決められなくて返事に迷ったり、食べたいデザートを相手に合わせて、我慢することもさせてもらえない。五十嵐さんの隣は心地が良すぎだ。