僕ら死神の仕事
渋谷のセンター街。

あの有名なスクランブル交差点。

笑いながら歩く人間たち。

信号が変わって照らしていた赤いライトが緑に変わる。

一斉に足音が進み出して響き渡る。

その瞬間…


開幕を告げる悲鳴が響いた。





「ってシナリオだってさ〜」

「…都心って怖いね。」

「あ、シキは行ったことなかったか?」

「俺は行くこと無かった…」

「かなりこういうこと多いから出来るなら行かない方がいいぞ。」

「イサヨは都会育ちだもんね〜」

今日も今日とて他愛のない会話をしながらこれからの話をする。

「で、2日後の魂の回収はそれだけで100人以上か。」

「しかもスクランブル交差点だけでこの人数…」

「で、あのクソ上司がそっちの方てつだえってさ〜あの人時間にはうるさいから。」

今回は合同での回収だ。

犯人のやり方やそこら辺はその辺から聞いた。

「深夜のスクランブル交差点とか残業させる気満々だよね。パワハラで訴えていいかな。」

「訴えるも何も死神の世界だから…」

「シキ、これいつもの調子だから気にすんな。」

「しゃーない。とりあえず話し合いあるんでしょ?行くよ。面倒だけど。」

僕は上着を指に引っ掛けて重い足取りで会議をするための場所に向かった。



「…で、何この状況。」

目の前に広がるのはなんとも分かりずらい状況。

イサヨの弟くんがなんか枕にされてるしというかまずなんか寝てるしそれを起こしてる人も大変そうだし。

「すいません…この人1度寝るとなかなか起きなくて。」

目の前で寝てる金髪の人を指さして言った。

「あぁ、うん。知ってるから慣れっこだよ。てか初対面だった時もこれだったし。」

「イサヨさんもすいません…魂さんを枕にしてしまったりして。」

「お、おう…」

目の前にいる白に少しピンクの入った髪をした子は謝り倒し。

「とりあえず自己紹介をさせてください。私はエナです。」

エナという彼女は今目の前で堂々と眠っているコイツの部下。

「イサヨです。よろしくお願いします。」

「えっと…シキです。」

「2人は初めましてですよね。とりあえずこの人を起こすので待っててください…!」

「大丈夫。コイツは鎌向けても起きないから僕から説明するよ。」

今寝ているこいつとは何度か合同回収で会っているし慣れていた。

「こいつはセイヤ。見ての通り寝るのが得意。ちゃんと回収の時は動くから問題ない。」

セイヤは今のこの状況を何も知らないかのようにイサヨの弟くんを抱き枕にして寝ている。

「で、まぁ今回の作戦だけど1回の回収を効率よく動かなきゃ行けないんだ。まず誰がどこから出てくるか分からないから4つの角から同時に出る感じで。」

「じゃあどこかは2人ペアって感じか?」

「イサヨ大正解。もしくは中央に入ってもいいよ?」

「中央からだときついだろ。」

渋谷のスクランブル交差点が書かれた図にわかりやすく色の違うピンを刺して説明する。

「とりあえず回収リストの人数は113人。
最初のターゲットの時間が11時24分、ターゲットが減り始めるのが11時41分。」

「17分間の間動き回らないと…って感じ?」

「犯人が完全無差別の大量殺人だからね。シキが言う通りその17分間の間に89人回収。それから24人は1分につき6人。4分からは2人で終了だ。」

時刻やその辺を適当に説明をして大まかな動きを決める。

「犯人はどうなったんですか?」

「多分普通に捕まったのかな?リストには無いし上からも気をつけてって指示はないからね。」

「今回は姿は晒さず裏で動いてって感じになるんだな。静かにやらないと今回は渋谷の全ての人の記憶を変えることになるし。」

「イサヨが犯人役で突っ込んでもいいよ?」

「んで、後処理俺だろ?絶対やらない。」

「じゃああとは臨機応変に対応ってことで、セイヤ、ちゃんと聞いてたよな?」

彼は少し頭を上げて「りょうかい〜」といった。

「時間遅れたらこっちの分の資料整理全てそっちに送り付けるからな。」

「だいじょうぶ〜ゼロがかんがえるわるいことはおきないから〜」

マイペースに言うなりまた眠ってしまった。

「おし、じゃあエナ。セイヤを頼める?」

「はい。当日はちゃんとサポートしますのでよろしくお願いします。」

「うん。当日はハチ公前でいいでしょ?せっかくだから早めに集まって学生風に楽しもうよ!」

「ゼロ、何言ってるんです…」

「いいですね。行きましょうか。」

「エナさん?!」

「わーい。これならイサヨも何も言えないでしょ?」

「…まじかよ。」

「イサヨ…どんまい。」

「じゃあハチ公前集合ね!人間体で!」
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