僕ら死神の仕事
「あー。暇だ。」
何も無い静かな路地裏。
イサヨは何かを探しに行ったまま帰ってこない。
商店街で死神の持つ懐中時計を無くしたとか。
「まぁ…まだ時間あるしいいけどさ。」
体も戻さずずっといるわけなんだけど流石に飽きた。
リストに書かれているのは11時07分
懐中時計は10時44分をさしていた。
あと30分とはいえ長い。
…と思っていたんだけど。
路地裏で人通りの少ないここで微かな靴を地面に擦る音と人の気配。
出てくる様子がない所を見るとこっちの様子を伺っているようだ。
人間に見えるままの体では色々とやりずらい。
きっとあのニュースのやつだろうと目星はついているのだけれど。
「ねぇ。そこにいる人間は誰?」
普段より低い声がこの路地裏に響く。。
体を戻してないからそりゃそうなんだけど。
「足音、普通に聞こえてるんだけど。」
そう言っても出てこない。
「じゃあ独り言。俺は普通の人間より耳がいいんだよね。」
さっきまで座っていた塀から飛び降りてただの独り言を呟く。
僕はある建物を指さす。
「ねぇ。その黄色い壁の裏にいるのは誰?」
そう問う。
すると1人の男性がいた。
黒い髪は目に前髪がかかる程度で奥にある細い瞳を隠すかのよう。
不気味に光る緑の瞳が何を求めているのかは僕らにはわからない。
身長はイサヨよりは確実に低い。
160くらいだろうか?いや、目測だしきっともう少し高いだろう。
そこまでは別に変わったような人じゃない。
片手にナイフを持っていなければ。
服には血が染み込んで黒くなっている。
そんな人間が目の前にいる。
緑の瞳は細められ飲み込まれるかのようにどす黒い。
「へぇ。君が現代の切り裂きジャック?」
何も言わない彼に聞く。
リストにある見覚えのある顔。
その名前で呼ぶ。
「桐崎色人。君の名前でしょ?」
ただ無言を突き通す彼。
「何も答えない…か。まぁそりゃそうか。初対面だし。」
僕は呑気に話し出す。
間違いなく僕を殺そうとしているのは分かる。
リストの通りに回収はしないといけないからそれまでは時間稼ぎをしなくちゃならない。
でも今の状態だと僕がここにいることでズレが生じたんだろう。
「君は誰?生憎、僕は死ねないからさ。」
ただただ無言を突き通す男。
きっと元から話す方ではないのだろう。
「話すことがないなら俺から話してあげるよ。君の殺害の共通点。」
それだけには反応する男。
少し表情が変わったのがわかった。
「 "復讐" なんでしょ?ごめんね。全部調べさせてもらったよ。」
データ化したリスト。
ここ最近の刺殺でのリストだ。
そのリストに書いてある日にちや時間はおおはばにズレている。
「前の死因は子宮癌での病死だ。でもそのリストが大きく書き換えられてるんだよね。これってさ?新しい治療法が出てからだよね?」
その年にあった治療法から新しい治療法になった時。
稀にあるリストの書き換え。
病死予定だった人に多かった。
その男はそれがどうしたとでも言うかのような顔をしている。
「で、その時の最初の病人が君の母親なんでしょ?」
男はナイフを握りしめる。
でも僕は言葉をやめない。
「原因は薬による副作用と告げられた。しかし治療薬にある刺激物質によって不整脈が原因だ。これは医者のミスだった。それを知った君は医者を殺害。そして生き延びた病人も何人か殺害した…」
僕はこれで合っているのか聞くように笑顔を向けた。
もう時間切れだ。
時計は10時58分をさしている。
男はナイフを僕に向けて来る。
数歩後ろに下がり鎌を取ろうとするがそんな余裕もない。
僕は飛び上がって上にある屋根に登る。
路地裏ってそういう所が便利だ。
反抗した人間が行けない場所が多いから。
「さて…大幅にズレるから今日は残業かな?」
鎌の刃先を目の前にナイフを持った彼は悲しげにふっと笑った。
落としたリストには血が滲む。
大きくなった鎌を片手にそのリストを手に取る。
『10時59分21秒 《死因》刃物による失血死』
リストの書き換えをして鎌を縮小させる。
男から離れたナイフは月をうつし妖しく輝いていた。
そのナイフを手に取ってそのまま歩いた。
何も無い静かな路地裏。
イサヨは何かを探しに行ったまま帰ってこない。
商店街で死神の持つ懐中時計を無くしたとか。
「まぁ…まだ時間あるしいいけどさ。」
体も戻さずずっといるわけなんだけど流石に飽きた。
リストに書かれているのは11時07分
懐中時計は10時44分をさしていた。
あと30分とはいえ長い。
…と思っていたんだけど。
路地裏で人通りの少ないここで微かな靴を地面に擦る音と人の気配。
出てくる様子がない所を見るとこっちの様子を伺っているようだ。
人間に見えるままの体では色々とやりずらい。
きっとあのニュースのやつだろうと目星はついているのだけれど。
「ねぇ。そこにいる人間は誰?」
普段より低い声がこの路地裏に響く。。
体を戻してないからそりゃそうなんだけど。
「足音、普通に聞こえてるんだけど。」
そう言っても出てこない。
「じゃあ独り言。俺は普通の人間より耳がいいんだよね。」
さっきまで座っていた塀から飛び降りてただの独り言を呟く。
僕はある建物を指さす。
「ねぇ。その黄色い壁の裏にいるのは誰?」
そう問う。
すると1人の男性がいた。
黒い髪は目に前髪がかかる程度で奥にある細い瞳を隠すかのよう。
不気味に光る緑の瞳が何を求めているのかは僕らにはわからない。
身長はイサヨよりは確実に低い。
160くらいだろうか?いや、目測だしきっともう少し高いだろう。
そこまでは別に変わったような人じゃない。
片手にナイフを持っていなければ。
服には血が染み込んで黒くなっている。
そんな人間が目の前にいる。
緑の瞳は細められ飲み込まれるかのようにどす黒い。
「へぇ。君が現代の切り裂きジャック?」
何も言わない彼に聞く。
リストにある見覚えのある顔。
その名前で呼ぶ。
「桐崎色人。君の名前でしょ?」
ただ無言を突き通す彼。
「何も答えない…か。まぁそりゃそうか。初対面だし。」
僕は呑気に話し出す。
間違いなく僕を殺そうとしているのは分かる。
リストの通りに回収はしないといけないからそれまでは時間稼ぎをしなくちゃならない。
でも今の状態だと僕がここにいることでズレが生じたんだろう。
「君は誰?生憎、僕は死ねないからさ。」
ただただ無言を突き通す男。
きっと元から話す方ではないのだろう。
「話すことがないなら俺から話してあげるよ。君の殺害の共通点。」
それだけには反応する男。
少し表情が変わったのがわかった。
「 "復讐" なんでしょ?ごめんね。全部調べさせてもらったよ。」
データ化したリスト。
ここ最近の刺殺でのリストだ。
そのリストに書いてある日にちや時間はおおはばにズレている。
「前の死因は子宮癌での病死だ。でもそのリストが大きく書き換えられてるんだよね。これってさ?新しい治療法が出てからだよね?」
その年にあった治療法から新しい治療法になった時。
稀にあるリストの書き換え。
病死予定だった人に多かった。
その男はそれがどうしたとでも言うかのような顔をしている。
「で、その時の最初の病人が君の母親なんでしょ?」
男はナイフを握りしめる。
でも僕は言葉をやめない。
「原因は薬による副作用と告げられた。しかし治療薬にある刺激物質によって不整脈が原因だ。これは医者のミスだった。それを知った君は医者を殺害。そして生き延びた病人も何人か殺害した…」
僕はこれで合っているのか聞くように笑顔を向けた。
もう時間切れだ。
時計は10時58分をさしている。
男はナイフを僕に向けて来る。
数歩後ろに下がり鎌を取ろうとするがそんな余裕もない。
僕は飛び上がって上にある屋根に登る。
路地裏ってそういう所が便利だ。
反抗した人間が行けない場所が多いから。
「さて…大幅にズレるから今日は残業かな?」
鎌の刃先を目の前にナイフを持った彼は悲しげにふっと笑った。
落としたリストには血が滲む。
大きくなった鎌を片手にそのリストを手に取る。
『10時59分21秒 《死因》刃物による失血死』
リストの書き換えをして鎌を縮小させる。
男から離れたナイフは月をうつし妖しく輝いていた。
そのナイフを手に取ってそのまま歩いた。