好きな人は先輩です。
と言っても、私の前の席に先輩が座ったわけで終始私の胸は高鳴っていた。



そして、1番驚いたのは降りるバス停が同じだった事だ。



「家、意外と近所なのかもな。」



なんて言って笑った先輩に、そうですね、と返すのが精一杯の私。



『あ、あの先輩!』



バスでずっとシミュレーションしていた〝連絡先交換しませんか?〟の言葉。



「ん?」



いつまで経っても口を開かない私を先輩は首を傾げて、顔を覗き込んできた。



『あ、いや。
・・・なんでもないです、すみません。』



普段の私ならズバズバ色んなことを言えるのに、どうやら恋愛は奥手みたいだ。



「そう?」



『はい。』



あぁ、意気地無し。
私が1番嫌いな性格。



「なぁ舞。コレ、交換しない?」



下げた視線をばっと上げればスマホをプラプラと揺らした先輩。



『いいんですか!』



慌ててポケットからスマホを出した。
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