ラットラズベリー
フラフラしながら電車に乗りいつもの学校に向かう。


席に座れなかったので吊革に捕まり半分寝ていると何処かの誰かさんが肩を叩いてきた。


振り返ってみると「おはよう」とクラスの男の子が笑いかけてきた。


「なんだ茨木くんか。おはよう」


私のオタク友達。茨木智紀くん。


結構な雑食で人間からロボットまでとことん愛せるすごい人。


腐男子でもあり、ロボットオタクでもある。


私の尊敬すべき友人。


「隈酷いですけど大丈夫ですか?」


「うん、遅くまで親戚の兄ちゃんと漫画書いてた」


茨木くんは察したらしく「お疲れ様です」と苦笑いしていた。


「そういえば、この前借りた漫画持ってきたので後で返しますね」


「あぁ、あれ。どうだった?」


「感動しました。あんなに切ない恋があるなんて思いませんでしたよ」


ちなみに茨木くんに貸したのは完全なホモ漫画。


激しめなやつではなく純粋に泣けるもの。


私はあれ以上に泣けるホモ漫画を知らない。


「それよりは劣るけど泣けるのがあるから今度持ってくるよ」


「ありがとうございます!」


とても嬉しそうに笑っている茨木くんを見て嬉しそうだなぁと思った。


彼は眼鏡+前髪が長いので表情が読みづらい。


最初の頃は私も彼の表情が読み取れなかったが話すうちに趣味が合う良き友達になっていた。


今ではホモ漫画を貸し出せるほど仲が良い。


私は心を許した相手にしかホモ漫画を貸さない。


だから私は結構彼に心を許している。


「今度は僕のオススメの漫画を持ってきますね」


ニコッと笑う彼をみた悪い気はしない。


だから私は「ありがとう」と笑顔で返せた。
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