当たり前です。恋人は絶対会社の外で見つけます!
週末の眩しい中での違和感。
駅から離れたところのオフィス街にあるカフェに入る。
週末は割と空いてる事に気が付いて、こんな時に時々ぼんやりするのに使う。
店内は珍しくいっぱいだったけど、外のベンチ席が空いていた。
地下の広場を見下ろせる席でぼんやり見ていた。
ランチタイムが終わってコーヒー片手に席でのんびりしてる人たち。
真ん中の噴水が時々音を立てて吹き上がる。
少し涼しくなったみたい。
手にしたストールを肩に巻く。
人生にもし・・・はない。
そして自分は自分の人生しか生きられない。
自分の人生さえなかったような映画の中の主人公たち。
それでも自分の世界の中でだったら幸せかもしれない。
少し前、みゆきが悲しい恋愛しかしてなくて、私の方が幸せな恋愛をしてると思ったこともあった。
でも大好きだった人と恋人同士になったと聞いてあっさりみゆきが幸せになり、でもその人にも裏切られて、別れて、やっぱり自分の方が・・・・。
でも、今はまた仕事が終わるとさっさと帰るみゆきの方が幸せそうで。
別にみゆきと張り合おうとしてるわけじゃなくて、自分の人生の幸福度ってどうやって、いつ決まるんだろう。
それは本当に最後の最後まで分からないのかもしれない。
知らないから幸せなこともあるし、幸せなことがあったから、無くして不幸を味わうこともある。
いつ、その判断をするのだろう。
なんて言っても私だって自分の人生に自信なんて全くない。
もっともっと幸せになりたいのに。
その方法も分からない状態の今。
「只野さん?」
いきなりそう呼ばれた声は噴水にかき消されそうだった。
でも聞こえた方に視線をやった。
誰?
声を聞いて想像してたのとは違う印象の人がいて。
噴水のせいで間違えたと思った。
でもその顔から見慣れないサングラスを消し去る。
「何してんだ?お前。」
声もそう、サングラスを引き算しても、そう。
「大場・・・・。」
サラリとサングラスを外して胸のシャツに刺す。
慣れてる感じ。
いつもつけてるんだ。
胸元のサングラスを見る。
「待ち合わせ?」
そう言って目の前のカップを持たれた。
すっかり半分以上減ってると思う。
勝手に違うと判断したのか、わざわざサングラスを私の前に置いて。
「俺も買ってくる。」
そう言うとさっさといなくなった。
何してんの?
何するの?
留守番のサングラスを置いてく訳にも行かないし。
カップを持ち上げると半分くらいは入っていた。
ゆっくり戻す。
サングラスを手にしてかけてみる。
サイズは問題ない、そう思ったのに、実際にかけたらずり落ちた。
ちょっと大きかった。
レンズを押しあててぐるりと見まわす。
暗い色なのに光があると分かる空。
まぶしくはない。
おしゃれアイテム?
度は入ってないみたいだし。
暗い景色の中でぼんやり人びとを見ていたら。
「気に入ってるんだから壊すなよ。」
ビックリした。
早すぎる。
注文カウンターは混んでなかったらしい。
急いでサングラスを外す。
カップを置いて横に来た。
サングラスはまた胸元に刺さった。
やっぱりわざと置いていった?
サングラスを視線で追っていたら、ゆるく開けたボタンの胸元の肌を見てしまい、ちょっと動揺する。
私のカップに買って来たコーヒーを入れてくれた。
「すっかりぬるいぞ。猫舌か?」
「ありがとう、って何でそこに座ってるの?」
今更だけど。
大人しく留守番してたのに、帰ってきたらじゃあねって、そこまで私は酷くない。
でもつい、言ってしまうんんだ。
「気にするなよ。待ち合わせの相手が来たらちゃんと離れるから。」
そう言われた。
待ち合わせとも何とも言ってない。
でもそう思うならその方がいい。
「そうしてください。」
「誰か来るのか?」
最初から来ないと思って言ってたらしく、今更驚く。
答えない。
鼻で笑われたような気がする。
「じゃあ、来たら教えてくれ。」
顔を見ると意地悪そうな顔をしていた。
来る前に・・・・誰も来ないけど、さっさと飲んで席を立ってやる。
ちょっと重たくなったコーヒーに口をつけた。
温度もいい感じ。
「いつもサングラスしてるの?」
「あ、ああ。気に入って買ったんだ。夏はいいだろう、眩しいし。」
さっきの顔を思い浮かべたら、秘書課の人の顔も浮かんだ。
そうですね。
「まあね、お似合いです。」
横に並んだ姿を思い浮かべながらそう言った。
「惚れるなよ、あ、惚れていいぞ。」
何で言い直すのよ。
睨むように見てやった。
まったくこたえないような顔をしている。
もう何度も睨みつけてるから、慣れてしまったらしく、少しもひるまない。
それでも名前で呼ぶことはなくなったからいいとしよう。
一度言ってからはちゃんと名字で呼んでくれてる。
別に呼びとめられるような用事は一度もないはずなのに。
「何してるの?」デートは?
「適当にふらふらしてた。只野さんもだろう?」
勝手に決められた。
先輩と映画を見てました。
教えてあげませんが。
「なんか元気ないな。いいニュースもないのか?」
無言。
「しょうがない、食事奢ってやるよ。」
そう言ってコーヒーを持たれた。
またしてもさっさと歩く。
ついてくるのが当たり前だと言うように。
背中を見送った。
何でついてくると思う?
座ったまま、じっとしていた。
「本当に誰か来るのか?」
コーヒーは勝手に捨てられたらしい。
戻ってきて焦って聞いてくる。
「来ません。」
この間反省したのに、やっぱり刺々しく答えてしまう。
「良かった。じゃあ、行くぞ。」
週末は割と空いてる事に気が付いて、こんな時に時々ぼんやりするのに使う。
店内は珍しくいっぱいだったけど、外のベンチ席が空いていた。
地下の広場を見下ろせる席でぼんやり見ていた。
ランチタイムが終わってコーヒー片手に席でのんびりしてる人たち。
真ん中の噴水が時々音を立てて吹き上がる。
少し涼しくなったみたい。
手にしたストールを肩に巻く。
人生にもし・・・はない。
そして自分は自分の人生しか生きられない。
自分の人生さえなかったような映画の中の主人公たち。
それでも自分の世界の中でだったら幸せかもしれない。
少し前、みゆきが悲しい恋愛しかしてなくて、私の方が幸せな恋愛をしてると思ったこともあった。
でも大好きだった人と恋人同士になったと聞いてあっさりみゆきが幸せになり、でもその人にも裏切られて、別れて、やっぱり自分の方が・・・・。
でも、今はまた仕事が終わるとさっさと帰るみゆきの方が幸せそうで。
別にみゆきと張り合おうとしてるわけじゃなくて、自分の人生の幸福度ってどうやって、いつ決まるんだろう。
それは本当に最後の最後まで分からないのかもしれない。
知らないから幸せなこともあるし、幸せなことがあったから、無くして不幸を味わうこともある。
いつ、その判断をするのだろう。
なんて言っても私だって自分の人生に自信なんて全くない。
もっともっと幸せになりたいのに。
その方法も分からない状態の今。
「只野さん?」
いきなりそう呼ばれた声は噴水にかき消されそうだった。
でも聞こえた方に視線をやった。
誰?
声を聞いて想像してたのとは違う印象の人がいて。
噴水のせいで間違えたと思った。
でもその顔から見慣れないサングラスを消し去る。
「何してんだ?お前。」
声もそう、サングラスを引き算しても、そう。
「大場・・・・。」
サラリとサングラスを外して胸のシャツに刺す。
慣れてる感じ。
いつもつけてるんだ。
胸元のサングラスを見る。
「待ち合わせ?」
そう言って目の前のカップを持たれた。
すっかり半分以上減ってると思う。
勝手に違うと判断したのか、わざわざサングラスを私の前に置いて。
「俺も買ってくる。」
そう言うとさっさといなくなった。
何してんの?
何するの?
留守番のサングラスを置いてく訳にも行かないし。
カップを持ち上げると半分くらいは入っていた。
ゆっくり戻す。
サングラスを手にしてかけてみる。
サイズは問題ない、そう思ったのに、実際にかけたらずり落ちた。
ちょっと大きかった。
レンズを押しあててぐるりと見まわす。
暗い色なのに光があると分かる空。
まぶしくはない。
おしゃれアイテム?
度は入ってないみたいだし。
暗い景色の中でぼんやり人びとを見ていたら。
「気に入ってるんだから壊すなよ。」
ビックリした。
早すぎる。
注文カウンターは混んでなかったらしい。
急いでサングラスを外す。
カップを置いて横に来た。
サングラスはまた胸元に刺さった。
やっぱりわざと置いていった?
サングラスを視線で追っていたら、ゆるく開けたボタンの胸元の肌を見てしまい、ちょっと動揺する。
私のカップに買って来たコーヒーを入れてくれた。
「すっかりぬるいぞ。猫舌か?」
「ありがとう、って何でそこに座ってるの?」
今更だけど。
大人しく留守番してたのに、帰ってきたらじゃあねって、そこまで私は酷くない。
でもつい、言ってしまうんんだ。
「気にするなよ。待ち合わせの相手が来たらちゃんと離れるから。」
そう言われた。
待ち合わせとも何とも言ってない。
でもそう思うならその方がいい。
「そうしてください。」
「誰か来るのか?」
最初から来ないと思って言ってたらしく、今更驚く。
答えない。
鼻で笑われたような気がする。
「じゃあ、来たら教えてくれ。」
顔を見ると意地悪そうな顔をしていた。
来る前に・・・・誰も来ないけど、さっさと飲んで席を立ってやる。
ちょっと重たくなったコーヒーに口をつけた。
温度もいい感じ。
「いつもサングラスしてるの?」
「あ、ああ。気に入って買ったんだ。夏はいいだろう、眩しいし。」
さっきの顔を思い浮かべたら、秘書課の人の顔も浮かんだ。
そうですね。
「まあね、お似合いです。」
横に並んだ姿を思い浮かべながらそう言った。
「惚れるなよ、あ、惚れていいぞ。」
何で言い直すのよ。
睨むように見てやった。
まったくこたえないような顔をしている。
もう何度も睨みつけてるから、慣れてしまったらしく、少しもひるまない。
それでも名前で呼ぶことはなくなったからいいとしよう。
一度言ってからはちゃんと名字で呼んでくれてる。
別に呼びとめられるような用事は一度もないはずなのに。
「何してるの?」デートは?
「適当にふらふらしてた。只野さんもだろう?」
勝手に決められた。
先輩と映画を見てました。
教えてあげませんが。
「なんか元気ないな。いいニュースもないのか?」
無言。
「しょうがない、食事奢ってやるよ。」
そう言ってコーヒーを持たれた。
またしてもさっさと歩く。
ついてくるのが当たり前だと言うように。
背中を見送った。
何でついてくると思う?
座ったまま、じっとしていた。
「本当に誰か来るのか?」
コーヒーは勝手に捨てられたらしい。
戻ってきて焦って聞いてくる。
「来ません。」
この間反省したのに、やっぱり刺々しく答えてしまう。
「良かった。じゃあ、行くぞ。」