当たり前です。恋人は絶対会社の外で見つけます!
土曜日の朝一で予約を取った。
「こんにちは。」
「こんにちは。」会員カードを出す。
「今日はカラーも?」
「はい、初めてです、カラーとあと合わせてカットもお願いします。」
椅子に案内された。
まず初めてのカラーを決める。
「元気に明るく見えるようにしてください。」
「了解。でも仕事上は問題なし?」
「はい。普通の明るさなら大丈夫です。」
「カットは?」
「短くショートに。イメージを変えてください、思いっきり。任せます、それに合わせて色も。」
ビックリした担当さんが俄然張り切る。
他の人の手も空いていた、なんせ朝一番。
三人が集まり検討して、さらさらと髪を触られた。
「これはどう?」
見せられた写真はアシメのショートカット。
少し毛先を柔らかく動かしてスタイリングされていた。
明るさは問題なし。
お手入れができるかどうか。
でもお願いした。みんなで決めてくれたから。
「お願いします。」
出来上がりが楽しみのような不安のような。
鏡は見ないようにして話をした。
「今まで一度もスタイルチェンジとか、カラーとか勧められた気がしません。」
「だって髪も綺麗だし。黒髪も似合ってるし。顔立ちと合うのが一番。目が大きいのよ、黒目が。その目で話を聞くときジッと見られるとドキってする。女性の私でもね。だから綺麗な黒髪とまっすぐ揃った前髪って合うと思ってた。」
「なんだか、褒められてばかりで。初めてです、そんな事言われたの。ずっと地味だと思ってて、地味過ぎて明るい色は似合わないかなって。」
「色が白いし、顔が小さいから絶対似合う。それは間違いない。後は好み。すごく楽しみ。ショートも初めて?」
「はい、初めてです。大丈夫かなあ?不安です。」
「大丈夫だと思う。変わると思う、印象がグンと変わると思う。」
カットが終わり、カラーの仕上がりを待つ間タブレットを渡された。
いつの間にか美容室の本もタブレットになったらしい。
カラーとカットで、いつもよりずっと時間がかかってる。
コーヒーを入れてもらって、ひたすらタブレットに視線を落とした。
映画情報にカフェ情報。
パワースポット情報にはすごく本気モードを出してみた。
行きたい!
なんだか元気になった気がした。
これで髪型が似合ったらすごく元気になれそう。
パワースポットはあり過ぎて困る。
どこに行けばいい?とりあえず近くから。
都内の数か所をチェックする。
携帯のメモ機能に入れておく。
あ、洋服も買いに行こう。似合う服。
髪がカットされて、ばさりとケープに落ちる音を聞いて、何かが自分から抜けていく気がしていた。
ずっと自分に向けられていた揶揄い交じりの会話の時間がゼロになるのが分かって、それを寂しいと思う自分がいて。
今更そんな事を考えてもしょうがないって私が私を励ます。
泣かないようにしていた。
ここで泣いたら恥ずかしいから。
猫特集の雑誌の画面を開きながら可愛い猫に癒されて。
あくびをした振りをして、涙をふく。
元気になれる、きっとなれる。
カラーを洗い流してケープを外して乾かしてもらう。
軽い。
頭が軽い。
振っても動く髪が短い。
スタイリングをされて完成。
鏡を見る。
変わった・・・・と思う。
すごくスッキリした。
憧れた隙の無い女性は程遠いけど、これが自分だ。
「ありがとうございます。すごく新鮮です。思ったより服も今までので大丈夫そうです。」
「うん、ふんわりと仕上げたら女性らしいから、逆に優しい印象が出たくらい。気に入っってもらえたかな?」
「はい。満足です。」
「良かった。」
タオルを外したら、もっと首元がスッキリした。
終了。
日曜日も鏡に映る自分に慣れないまま。
いつものスーツを着て出勤する。
千野先輩も、みゆきもビックリしたみたい。
でも二人とも褒めてくれた。
他にも数人。
皆、似合うって言ってくれた。
それだけで満足。
「こんにちは。」
「こんにちは。」会員カードを出す。
「今日はカラーも?」
「はい、初めてです、カラーとあと合わせてカットもお願いします。」
椅子に案内された。
まず初めてのカラーを決める。
「元気に明るく見えるようにしてください。」
「了解。でも仕事上は問題なし?」
「はい。普通の明るさなら大丈夫です。」
「カットは?」
「短くショートに。イメージを変えてください、思いっきり。任せます、それに合わせて色も。」
ビックリした担当さんが俄然張り切る。
他の人の手も空いていた、なんせ朝一番。
三人が集まり検討して、さらさらと髪を触られた。
「これはどう?」
見せられた写真はアシメのショートカット。
少し毛先を柔らかく動かしてスタイリングされていた。
明るさは問題なし。
お手入れができるかどうか。
でもお願いした。みんなで決めてくれたから。
「お願いします。」
出来上がりが楽しみのような不安のような。
鏡は見ないようにして話をした。
「今まで一度もスタイルチェンジとか、カラーとか勧められた気がしません。」
「だって髪も綺麗だし。黒髪も似合ってるし。顔立ちと合うのが一番。目が大きいのよ、黒目が。その目で話を聞くときジッと見られるとドキってする。女性の私でもね。だから綺麗な黒髪とまっすぐ揃った前髪って合うと思ってた。」
「なんだか、褒められてばかりで。初めてです、そんな事言われたの。ずっと地味だと思ってて、地味過ぎて明るい色は似合わないかなって。」
「色が白いし、顔が小さいから絶対似合う。それは間違いない。後は好み。すごく楽しみ。ショートも初めて?」
「はい、初めてです。大丈夫かなあ?不安です。」
「大丈夫だと思う。変わると思う、印象がグンと変わると思う。」
カットが終わり、カラーの仕上がりを待つ間タブレットを渡された。
いつの間にか美容室の本もタブレットになったらしい。
カラーとカットで、いつもよりずっと時間がかかってる。
コーヒーを入れてもらって、ひたすらタブレットに視線を落とした。
映画情報にカフェ情報。
パワースポット情報にはすごく本気モードを出してみた。
行きたい!
なんだか元気になった気がした。
これで髪型が似合ったらすごく元気になれそう。
パワースポットはあり過ぎて困る。
どこに行けばいい?とりあえず近くから。
都内の数か所をチェックする。
携帯のメモ機能に入れておく。
あ、洋服も買いに行こう。似合う服。
髪がカットされて、ばさりとケープに落ちる音を聞いて、何かが自分から抜けていく気がしていた。
ずっと自分に向けられていた揶揄い交じりの会話の時間がゼロになるのが分かって、それを寂しいと思う自分がいて。
今更そんな事を考えてもしょうがないって私が私を励ます。
泣かないようにしていた。
ここで泣いたら恥ずかしいから。
猫特集の雑誌の画面を開きながら可愛い猫に癒されて。
あくびをした振りをして、涙をふく。
元気になれる、きっとなれる。
カラーを洗い流してケープを外して乾かしてもらう。
軽い。
頭が軽い。
振っても動く髪が短い。
スタイリングをされて完成。
鏡を見る。
変わった・・・・と思う。
すごくスッキリした。
憧れた隙の無い女性は程遠いけど、これが自分だ。
「ありがとうございます。すごく新鮮です。思ったより服も今までので大丈夫そうです。」
「うん、ふんわりと仕上げたら女性らしいから、逆に優しい印象が出たくらい。気に入っってもらえたかな?」
「はい。満足です。」
「良かった。」
タオルを外したら、もっと首元がスッキリした。
終了。
日曜日も鏡に映る自分に慣れないまま。
いつものスーツを着て出勤する。
千野先輩も、みゆきもビックリしたみたい。
でも二人とも褒めてくれた。
他にも数人。
皆、似合うって言ってくれた。
それだけで満足。