当たり前です。恋人は絶対会社の外で見つけます!
生きていくのに必要な物は何だろうか。
『少しの満足だ。』と言った人がいた。
スイスの田舎の方だった。
広い丘のような牧場でのんびりお手製の椅子に腰かけて風に吹かれて、満足そうに牛を見ていた。
かなりの田舎で東国の自分のような旅人も珍しかったらしい。
話かけられた。
「旅人か?何を探してる?」
変な英語で話しかけられた。
前歯が二本無かった。発音が息とともに抜けるのだ。
何を探してるかと聞かれて、自分の人生を・・・・気取って答えた。
「探してるうちは見つからないね。探すのをやめてぼんやりした時に振り返ったところにあるものだからさ。」
深いのか?
「急ぐか?」そう聞かれた「否。」そう答えたら小屋の中に誘われた。
お手製の丸太小屋。
昼間の休憩所だと思ったら、家だと言われた。
狭い、何もない。
牛は自分のものじゃなくただの牛係。
おじさん『ペーター』らしい、リアルな『ハイジ』の世界だ。
昼間、ぼんやりと牛を眺めて過ごし、夕方になったらご飯を食べて寝る。
何ともシンプルだ。
仕事というものじゃない、過ごし方だ、と。
人生に余分なものを持つからしんどくなる。
もう充分に堪能したから全部捨てたと言っていた。
潔い、でも何かあったんだろう、きっかけが。
今はこれで充分だと言って手紙と写真を見せられた。
箱の中に入っていたのは子供と孫の手紙と写真。
奥さんらしき人との写真もあった。
前歯もあった若い頃の写真だった。
自分が守ってきた存在が、今は自分の分も人生を生きてくれてる、と。
都会らしい、スイスのきれいな住宅地に住んでる息子夫婦と孫。
絵にかいたような幸せな家族の写真だった。
自分の人生は子どもに、孫に引き継がれて続いていく。
自分は離れてる分、のんびりと沿うように重なる時間を生きているつもりだと。
そう思うだけで満足だから、それだけでいいと。
子どもと孫には会うのかと聞いたら、半年に一度は会うと言う。
山を下りて電車で二時間。
のんびり行くとその街に着くらしい。
道も山も空もつながってる。
風でも吹けばあっという間にたどり着くんだと言う。
笑ってそう言う顔、前歯はなくても満足げに笑う笑顔は良かった。
元気で今日も牛を見てるだろうか?
一晩泊めてもらって、質素な食事だったがご馳走になったた代わりに、自分が街で買ったチョコレートを二人で食べて、ちょっとだけお酒を飲んで。
次の日に伝言を頼まれた。
別に急ぐわけでも、決まった行程があるわけでもないと確認されたうえで。
託された手紙を配達した。
手書きの地図と住所を頼りに見つけた家。
いきなり現れた汚らしい東洋人が手にした手紙が喜ばれて、ビックリするほど歓迎してくれた。
山の父親の様子を聞かれて、答えて。
安心したと言われた。
自分と映った写真も見せた。
カメラごと預けて、パソコンにその写真二枚のデータを取り込んだ息子。
それだけでも自分がここに立ち寄った甲斐はあった。
子どもと遊んで一晩お世話になった。
お風呂に入り、洗濯をしてもらい、ひげをそり、美味しいものを食べて、お酒も頂いて。
日本のことも聞かれた。
思ったほど答えられない自分がいた。
分かってるようで分かってない。
自分の足元もよく見えてないらしいと思った、だから半年は日本を放浪しようと思ったのかもしれない。
お土産にお手製のクッキーとサンドイッチをもらい旅をつづけた。
『少しの満足だ。』と言った人がいた。
スイスの田舎の方だった。
広い丘のような牧場でのんびりお手製の椅子に腰かけて風に吹かれて、満足そうに牛を見ていた。
かなりの田舎で東国の自分のような旅人も珍しかったらしい。
話かけられた。
「旅人か?何を探してる?」
変な英語で話しかけられた。
前歯が二本無かった。発音が息とともに抜けるのだ。
何を探してるかと聞かれて、自分の人生を・・・・気取って答えた。
「探してるうちは見つからないね。探すのをやめてぼんやりした時に振り返ったところにあるものだからさ。」
深いのか?
「急ぐか?」そう聞かれた「否。」そう答えたら小屋の中に誘われた。
お手製の丸太小屋。
昼間の休憩所だと思ったら、家だと言われた。
狭い、何もない。
牛は自分のものじゃなくただの牛係。
おじさん『ペーター』らしい、リアルな『ハイジ』の世界だ。
昼間、ぼんやりと牛を眺めて過ごし、夕方になったらご飯を食べて寝る。
何ともシンプルだ。
仕事というものじゃない、過ごし方だ、と。
人生に余分なものを持つからしんどくなる。
もう充分に堪能したから全部捨てたと言っていた。
潔い、でも何かあったんだろう、きっかけが。
今はこれで充分だと言って手紙と写真を見せられた。
箱の中に入っていたのは子供と孫の手紙と写真。
奥さんらしき人との写真もあった。
前歯もあった若い頃の写真だった。
自分が守ってきた存在が、今は自分の分も人生を生きてくれてる、と。
都会らしい、スイスのきれいな住宅地に住んでる息子夫婦と孫。
絵にかいたような幸せな家族の写真だった。
自分の人生は子どもに、孫に引き継がれて続いていく。
自分は離れてる分、のんびりと沿うように重なる時間を生きているつもりだと。
そう思うだけで満足だから、それだけでいいと。
子どもと孫には会うのかと聞いたら、半年に一度は会うと言う。
山を下りて電車で二時間。
のんびり行くとその街に着くらしい。
道も山も空もつながってる。
風でも吹けばあっという間にたどり着くんだと言う。
笑ってそう言う顔、前歯はなくても満足げに笑う笑顔は良かった。
元気で今日も牛を見てるだろうか?
一晩泊めてもらって、質素な食事だったがご馳走になったた代わりに、自分が街で買ったチョコレートを二人で食べて、ちょっとだけお酒を飲んで。
次の日に伝言を頼まれた。
別に急ぐわけでも、決まった行程があるわけでもないと確認されたうえで。
託された手紙を配達した。
手書きの地図と住所を頼りに見つけた家。
いきなり現れた汚らしい東洋人が手にした手紙が喜ばれて、ビックリするほど歓迎してくれた。
山の父親の様子を聞かれて、答えて。
安心したと言われた。
自分と映った写真も見せた。
カメラごと預けて、パソコンにその写真二枚のデータを取り込んだ息子。
それだけでも自分がここに立ち寄った甲斐はあった。
子どもと遊んで一晩お世話になった。
お風呂に入り、洗濯をしてもらい、ひげをそり、美味しいものを食べて、お酒も頂いて。
日本のことも聞かれた。
思ったほど答えられない自分がいた。
分かってるようで分かってない。
自分の足元もよく見えてないらしいと思った、だから半年は日本を放浪しようと思ったのかもしれない。
お土産にお手製のクッキーとサンドイッチをもらい旅をつづけた。