私のキャンバス
「ジェイク…」
「お久しぶりですね」
オーダーメイドのスーツ。スクエア型のメガネ。きっちり整えた髪。
一年前と変わらないジェイクの完璧な姿にデイジーは笑みがこぼれる。
「どうしてここに?帰ってくる予定が早まったの?」
「デイジー様が心配で、一時帰国しました。明日にはまた香港に」
「帰国するほどの何かを誰かに聞いたのね」
「ええ。最近よく眠れず食欲もないと伺いました」
「あなたってこの屋敷に情報屋がいるの?」
「それは秘密です」
「まあ」
デイジーは思わず笑ってしまった。