私のキャンバス
「今日は黒ですか」
ジェイクはそう言うと、スーツの上着を脱ぐ。
「ベージュピンクにしようか迷ったんだけど、結局こっちにしたの」
「そうですか」
そう言いながらシャツを脱ぎメガネを外すジェイク。
デイジーは久しぶりの光景を見て微笑んだ。
“男の筋肉”を強く匂わせる引き締まったジェイクの体。
「相変わらずいい体をしてるわね」
ジェイクはデイジーの言葉に口角を持ち上げる。
「デイジー様専用のキャンバスですからね。ちゃんと管理をしてますよ」
「ふふふ」
デイジーはバケツの中に手を入れて、黒のコンスターチを掬うと、それをジェイクの胸に押し付けた。
<ああ、この感触…>
手にコンスターチが絡まっていても分かる。
ジェイクの体のラインと体温と心臓の音。
ずっと待っていた感触。
「…今日はぐっすり眠れそうだわ」
「それは良かった」
ジェイクは慈しむ視線でデイジーを見つめてる。
デイジーはそんなジェイクに微笑むと、再びコンスターチを掬って、今度はジェイクの顔に色をつけた。