エスポワール~私と御曹司~

初対面の人なんだから分からなくて
当然だけど、でもまた次に会っても
その次に会っても、きっと私はずっと
この人の事がよく分からないだろうなと思った。

そんな未来、ないかもだけど。

なんて、背中を見送りながら思った。

望「見送りはいいからさ。
早く家帰った方がいいよ、希ちゃん。」

え?何で?何で私の名前知ってるの?
...ああ、そっか。お兄ちゃんか。

希「おやすみなさい。」

望「おやすみ。」

家に帰った私は堪らず
お兄ちゃんに電話をかける。

ープルルルルル

永人「希。無事帰れたか?」

希「お兄ちゃんのバカ!
何で、言っちゃうのよ!」

永人「おいおいおい。
いきなりバカはないだろ。」

希「お兄ちゃんとあの人が
めっちゃ仲の良い親友だとしても
私の家の住所とか名前とか
別に言わなくてもいいじゃん!
何で私に何も言わずに話しちゃうのよ!」
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