エスポワール~私と御曹司~
御曹司が私の事を好きになるなんて
有り得ないから。
私の好きが募る前に...諦めなきゃ。
諦められてから会いたかった。
初めの頃みたいに
嫌々、御曹司と会うくらいの
関係になりたかった。
クビにならないために
御曹司の言う事を聞くくらいが
ちょうど良かった。
今日1日、なんとか御曹司と
二人きりになるのを避け続けた。
...これが毎日続くのかと思うと
正直疲れてしまうけど
でも、御曹司には関係ない。
これは私の気持ちの問題なのだから。
さほど、気にはしないだろう。
もしかすると避けている事に
気付かないかもしれない。
後は、退社してバイトに向かうだけ。
とりあえず今日1日は乗り切れそうだ。
エレベーターのボタンを押し
私が乗り込むと閉まる寸前の
ドアを誰かが押さえる。
...まさか、御曹司がそんな事を
する人だとは思わなかった。