エスポワール~私と御曹司~
希「中学生の頃、お母さん
亡くなっちゃってからずっと
近くに女の人って
いなかったからさ、急に
お姉ちゃんが出来たみたいで嬉しい。」
...て、何言ってんだろ。私。
御曹司、黙っちゃったよ。
希「全然そうゆう意味じゃないから!
勝手に私が慕ってるだけで
お姉ちゃんだなんて思ってないから!」
望「良かったよ。
ほら、奈緒ってさ昔から
結構グイグイいく人だったから
誤解される事が多くてさ。
希がそう言ってくれて良かった。」
希「いい人だよ、奈緒ちんは。」
望「奈緒ちん?」
希「ふふ。うん。お姉さんって
呼んだら怒られちゃったから
奈緒ちんって呼んでる。」
望「本当、変わらないな。
ガキのまま大人になったつーか。
俺も姉貴って呼んだらぶん殴られる。」
希「仲良しなんだね、奈緒ちんと。」
望「...まあな。
希と永人みたいなもんだ。」
希「そっか。何か食べる?」
望「いらない。けど...」
立ち上がった御曹司は私の元まで
やってくると抱き締めた。
望「こうさせて。」
御曹司が何故、急に
私の事を抱き締めたのかは分からない。
だけど、ずっと不安だったから
ものすごく安心した。
御曹司の体温が私の心を落ち着かせた。