一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「この後、会う予定でもあんの。」
「え…?」
「お前、本当にあいつのこと好きなのかよ。」
天下の久我樹を、あいつ呼ばわり。
しかし、そんなことも気にならないほど私は彼の質問の意図に困惑していた。
「な、なんでそんなこと…」
「答えろよ。心からあいつのことが好きって言い切れんのか?ほんとは弱みでも握られて、無理に付き合わされてるだけなんじゃないのか?」
止まらなくなったように溢れる言葉。その全てが今の私の心を突き刺した。
最初は、世間体を保つためだった。スイートルームに住む条件として、偽恋人を受け入れた。ぜんぶ、瀬戸の言うとおり。
でも、今は違う。
好き。
彼を好きになっちゃったの。
でも、向こうはきっとそうじゃない。
本気ではない彼に惑わされて、本心を聞けないまま、すれ違ってる。
「行くなよ。」
腕を取る手に力が込められた。すがるような視線とは裏腹に、その口調は強い。だが、少し触れれば壊れてしまいそうな脆さがあった。
「目に見えて落ち込むくらい、あいつとなんかあったんだろ?なんで辛そうな顔ばっかりしてるんだよ。傷つくくらいなら、さっさと別れろ。」
「っ、別れろ…?なんで瀬戸がそんなこと言うの…!」
「なんで…?それを俺に聞くか?」
次の瞬間。
眉を寄せた瀬戸が、堪え切れなくなったように言い放つ。
「俺はもうこれ以上、好きな女が他の男に遊ばれてる所なんか見たくねぇんだよ。」