一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
一瞬、時が止まった。
瀬戸も、はっ、としたように目を見開く。
え?今、なんて言った?
好きな女?誰が?誰の?
「…や、やだ、瀬戸。いくらなんでも酔いすぎ…」
「ばか。素面じゃないからこんなこと言えるんだ。どうせ嘘だって思ってんだろ。…言っとくけど、俺はなんとも思ってない奴の世話は焼かない。気を遣ったり庇ったり、そんな疲れること、誰にでもやってられるか。」
(…!)
ぐいっ!
ふいに抱き寄せられ、ぼすん!と胸に飛び込んだ。酔っ払いの介抱にしても、同期にしても、近すぎる距離。
力強い腕。こんなに強く抱きしめられたことなんてない。急に男なんだと思い知らされる。
信じられない。それしかでてこない。今、何が起こっているのかもわからない。
しかし、うるさいほど聞こえる彼の鼓動が、その言葉が嘘でないことを告げていた。
「ーー好きだ。」
「!」
「ずっと、俺は…、お前に惚れてる。」
夜闇に紛れた二人の姿を月だけが見ていた。