一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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『お客さん、ホテルのロータリーでいいですか?』
運転手のおじさんに声をかけられ、はっ、とする。
放心状態で車から降りると、現実感がぶわっ、と押し寄せた。
『ーー好きだ。』
『ずっと、俺は…、お前に惚れてる。』
あれから、すぐに瀬戸は私を離した。
戸惑う私を一瞥し、『…悪い。』と一言残して家の中へと消えたのだ。
悪いって?何に対しての謝罪?
告白をしたこと?急に抱きしめたこと?
嘘をついているようには思えなかった。
酔っ払っているにしても、それはずっと言えまいと押し込んでいた感情のストッパーを外す助けになっただけで、戯言ではない。
彼は、酔っていることを理由にしなかった。
その先の保険なんか何一つかけずに。ただ、まっすぐに想いを伝えてきた。
(瀬戸が、私を…?いつから?何のきっかけで?)
いくら考えても分からない。私たちは、今までただの同期だったのだ。唯とともに三人で飲みに行くくらいの、少し周りより仲の良い関係。
どっ、と、今までの記憶が頭の中に流れ出した。様々な記憶のカケラに映り込む瀬戸。
まさか、世を駆け巡ったスキャンダルがきっかけで恋情を…?いや、初めて三人で飲みに行った時にはすでに…?
と、その時だった。
「美香?」
「っ!」