一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

**


『お客さん、ホテルのロータリーでいいですか?』


運転手のおじさんに声をかけられ、はっ、とする。

放心状態で車から降りると、現実感がぶわっ、と押し寄せた。


『ーー好きだ。』


『ずっと、俺は…、お前に惚れてる。』


あれから、すぐに瀬戸は私を離した。

戸惑う私を一瞥し、『…悪い。』と一言残して家の中へと消えたのだ。

悪いって?何に対しての謝罪?

告白をしたこと?急に抱きしめたこと?


嘘をついているようには思えなかった。

酔っ払っているにしても、それはずっと言えまいと押し込んでいた感情のストッパーを外す助けになっただけで、戯言ではない。

彼は、酔っていることを理由にしなかった。

その先の保険なんか何一つかけずに。ただ、まっすぐに想いを伝えてきた。


(瀬戸が、私を…?いつから?何のきっかけで?)


いくら考えても分からない。私たちは、今までただの同期だったのだ。唯とともに三人で飲みに行くくらいの、少し周りより仲の良い関係。

どっ、と、今までの記憶が頭の中に流れ出した。様々な記憶のカケラに映り込む瀬戸。

まさか、世を駆け巡ったスキャンダルがきっかけで恋情を…?いや、初めて三人で飲みに行った時にはすでに…?

と、その時だった。


「美香?」


「っ!」


< 103 / 186 >

この作品をシェア

pagetop