一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

どきり、として肩が震えた。

彼の話では、樹さん本人から差し止めの連絡が入ったらしい。

あの大スキャンダルを世に出すことを許した樹さんが断る内容なんて、あるのだろうか?

「美香ちゃん、何か聞いてない?」と、尋ねる彼に、ぶんぶん、と首を横に振る。


彼は、仕事の話を一切私にしない。

会いに来るときは大体何気無い世間話をしていたし、その他の彼といえば、隙あらば、私を口説こうとしていただけだった。

私のことを知りたがる様子はあっても、自分のことは時間の無駄だと言って受け流す。そんな男だ。聞かされているはずがない。


コンコン。


その時、部屋の扉がノックされた。どうやら、約束の記者が到着したようだ。


(まずい。ただのハウスキーピングの私がここにいちゃダメだよね。)


はっ!として背筋を伸ばした私は、如月さんに頭を下げて声をかける。


「では、私はこれで…」


…と、そそくさと部屋から出ようとした次の瞬間。

ガチャ、と扉を開けて中に入ってきた男を見て、私はつい声を上げた。


「っ!週刊葵風?!」


「!」


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