一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

「へぇ…君が美香ちゃんか…」


興味深そうに、ちらり、と私に視線を落とした彼。戸惑いながら黙って彼を見上げた

その時だった。


『如月 恭介だ!』

『こっちこっち!』


突然、ホテルのロータリーから多くの報道陣が押し寄せてきた。どうやら、出待ちをしていたファンや記者たちに勘付かれたらしい。

彼が、「まずい」と顔をしかめた時にはもう遅く、あっという間に私たちは報道陣のカメラに囲まれていた。


『如月さん!本日は新作映画の試写会に登壇予定ですが!』

『隣の女性はどなたですか!もしかして、お付き合いしていらっしゃるのですか!』


矢継ぎ早に質問が飛んでくる。

どうやら、私たちの関係を勘違いされて、スクープ記事を狙っているようだ。盗撮されるよりはマシだが、早く誤解を解かなければならない。

すると、混乱の中、パシャっ!と一台のカメラがフラッシュをたいた。焦ったような如月さんが声を上げる。


「彼女はこのホテルで働く一般女性です!撮影は控えてください!」


信じられない展開。如月さんが、私を庇うように前へ出た。


(ど、どうしてこんなことに…?!)


…と、逃げるわけにもいかず困窮した

次の瞬間だった。

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