一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「何の騒ぎ?」
低く艶のある声が耳に届いた。コツ、という足音とともに、ストライプのスーツが目に入る。
漆黒の髪に切れ長の瞳。
見惚れるほど綺麗なその顔立ちが、雑誌の記事と合致する。
「久我さん…!」
それは、紛れもなくランコントルホテルの総支配人、久我 樹であった。思わずその名を呼ぶと、彼はコツコツと報道陣に歩み寄り、わずかにまつげを伏せた。
「根も葉もない色恋沙汰で当ホテルのゲストをスクープするのはやめていただきたい。この二人にそんな関係はありません。」
圧のこもった久我さんの言葉に、報道陣の動きが止まる。
『先程、如月さんは、彼女に親しげに声をかけていらっしゃいましたよね!』
『今の発言は、密会していた二人を庇うニュアンスも感じられますが!』
(まさか、如月さんが車から降りてきた時から見られていたの…?!)
するとその時。久我さんは、さらに瞳を細めて低く呟く。
「庇う?勝手な憶測で語らないでもらいたい。…そもそも、その子、俺のですから。」
『『え!』』
「「えっ!」」