一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~


はっ、とした。

心の中にあった靄が晴れてゆく。


「引かれたんだと思ってました…。」


「…?」


「その…経験がないってことを知られたから…。やっぱり、面倒くさいのかなって…」


さらり。


優しく撫でられる髪。私を見つめる瞳は、月明かりのように穏やかだった。


「引くわけないでしょ。むしろ、俺は嬉しいけど。」


「え…?」


「俺しか知らないって、結構クる。」


「よ、よくそんなことをさらっと言えますね。」


ふわり、と私を抱き起こした彼は、優しく私の手を取った。ゆっくりと重なる手のひら。きゅっ、と絡められた指が温かい。

まっすぐな瞳をした彼は、そっ、と言葉を紡いだ。


「…好きだよ。」


その言葉に嘘はなかった。彼の瞳が、指から伝わる熱が、真実であると告げている。

爆発寸前の私の心臓の音も、きっと彼に筒抜けだ。


すっ。


再び、彼がまつ毛を伏せた。口付けの予感に、ぞくり、と甘い震えがはしる。

…と、目を閉じて彼に応えようとした

次の瞬間だった。


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