一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ふいに名を呼ばれ、くるりと振り返る。すると、そこに立っていたのは先ほどまでぽんぽん会話に名前が出ていた彼だった。
「つ、椿さん!」
「やだなー、椿でいいよ。同い年なんだからさ。」
にこりと笑った彼は、フランクに話しかけてくる。「美香…?」と、眉を寄せた瀬戸からは警戒心むき出しのオーラが放たれているが、唯は興味津々、といった様子だ。
一方、ベストスーツの彼は距離を縮めるのが上手いらしい。私と一緒にいた唯と瀬戸に一言かけ、爽やかに挨拶を交わしている。若干人見知り状態だった私も、彼につられて緊張が解けていく。
「久しぶり。こうやって外で話すのは初めてだな。樹とはどう?」
「えーっと…樹さんとはあれから会えてなくて。連絡は取っているんだけど…」
「そうか。まぁ、樹は今、忙しいからな。穴埋めで俺が駆り出されるくらいだし。」
どうやら、椿は樹さんの補佐をするためにアメリカから呼ばれてきたらしい。臨時スタッフとしてこのホテルにしばらくいるようだ。