一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
その時、机の上に置いていた私のスマホが鳴った。画面には、樹さんからの通知が来ている。
“日曜はどう?”
「樹?」
「あ、うん。会おうって約束をしてて…」
すると、それを聞いた椿は微かにまつ毛を伏せた。
「へーぇ、いいじゃん。どこか行くのか?」
「うん。樹さんが、近くのレストランに行こうって。」
「………そうなんだ。楽しんでね。」
笑みを崩さない椿。若干彼の瞳の色が変わった気がしたが、その違和感は一瞬だった。
にこりと笑い返すと、彼は「じゃあな。」とひらひら手を振って去っていく。
本当に挨拶程度に話しかけてくれたらしい。
「へぇ、従兄弟といえど、久我さんと違ってニコニコタイプなんだね。好感触〜。やっぱりイケメンは強いわ。」
彼の背中へキラキラとした視線を送る唯に、瀬戸は静かに目を細めた。
「…なんか信用出来ねぇな…」
「瀬戸くんが気に入らないのは、美香を呼び捨てで呼んでたからでしょ。」
私は、そんな二人の会話にくすりと笑いながら、去りゆく椿を見つめたのだった。