一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「お仕事になったってことですか…?」
「うん。…ごめん。」
ピキ、と心にヒビが入った。キラキラと浮かれていた気分が、しぼむ風船のように小さくなっていく。
ピロリン…!
先程から、彼のスーツからLINEの着信音が鳴り続けている。恐らく、桐生さんからの連絡だろう。
残念がっている時ではない。ここは、大人らしく受け止めなければ。
「お忙しいのに、わざわざ伝えるために来てくれたんですか?電話とかでもよかったのに。」
と、その時。微かにまつ毛を伏せた彼が、ぽつり、と無意識に呟いた。
「うん。…でも、美香に会いたくって…」
ぎゅん!
その一言に体温が上がる。
恋人という関係になってから、彼はこうやってストレートに気持ちを伝えてくるようになった。
会いたくって?それで分刻みのスケジュールを縫って、来ちゃったの?
どうせいつでも会えるのに、なんて可愛げのないことは言わない。彼の顔を見た瞬間、私も分かりやすいくらい舞い上がってしまったのだから。