一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「ごめんね、美香。きっと夜には終わるから…」
「いえ!気にしないでください…!待ってますから。」
しゅん、と眉を下げた彼に、笑い返す私。
すると、…さらり、と私の毛先を指で弄んだ彼が、ぽつり、と囁いた。
「髪、巻いてたの?」
「あっ、はい。時間があったので…」
「もしかして、俺に会うから…、とか?」
「…!は、はい…」
照れながらぎこちなく頷くと、ぽすん、と優しく抱き寄せられる。目を見開いて固まる私に、たまらない、といった様子の彼の声が聞こえた。
「…可愛い……」
「ちょ、ちょっと!樹さん?!」
「…仕事行きたくない……」
「何言ってるんですか?!ダメですよ!!」
心の声がダダ漏れの彼。クールで口数の少ない彼は考えていることが読めないとずっと思ってきたが、今までは私に悟られないように平静を装ってきたのだろうか?
偽恋人の壁が崩れてから、隠す気もなくなったらしい。
私からしてみれば、ただでさえ国宝級の顔面をお持ちの御曹司に近づかれて心臓が爆発しそうなのだ。倒れそうになるから、こういうことはさらっとしないで欲しいのだが。
悶々とそんなことを考えながら彼にされるがままになっていると、ねだるような甘い声が耳元で聞こえた。
「…あのさ。今日の夜、お願いがあるんだけど…」
「っ、え…?」