一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
“夜”、“お願い”…?
その2ワードだけで、どかん、と思考がぶっ飛んだ。
なんだ、そのいかがわしい響きは。
いや、私だって分かってる。ついに晴れて本物の恋人になったのだ。そりゃあ、いつかは“その時”が来るって覚悟はしていた。
だが、朝っぱらからこんなに爽やかに誘われるだなんて思ってもみなかったが。
「わ、分かりました…!その…色々準備はしておきます…!何でも言ってください!」
テンパった私は、つい口を滑らせた。経験ない女が何言ってるんだ。
すると、彼はにこり、と笑って私に答える。
「んー…じゃあ、俺にカフェラテを淹れてくれない?」
「え?」
「レストランに行こうと思ってたけど、何時に終わるか分からないからお店で待ち合わせるのは厳しいでしょ?なら、仕事のご褒美に、また美香の淹れてくれたコーヒーが飲みたいなー…って。」
つい、きょとん、とすると、彼は穏やかな微笑みを浮かべて言葉を続けた。
「だめ?」
「っ!えっと、ダメではないんですが…」
「?」
「あっ、お願いって、そういうことですか…?!」
盛大な勘違いに気づいた私。耳年増で拗らせていたせいで、はしたない妄想をしてしまった。
純粋な顔できょとん、としている樹さんがやけに眩しい。
(さっ、最悪…!めっっっちゃ恥ずかしい…!この変態処女…!!)
つい、かぁっ、と頬を染めると、目を細めた彼がぽつり、と呟く。
「もしかして、エロいこと期待した?」
「!ま、まさか!そんなわけないじゃないですかっ!!」
「ふぅん。」