一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ついムキになって取り繕うと、すっ、とおもむろに彼がかがんだ。流れるように頬に手を添えられ、ふわり、と彼の香水の匂いが香る。
ちゅっ。
「っ!!」
自然に奪われた口付けに息が止まると、余裕のある笑みを見せた彼が低く囁いた。
「そっちをお願いしたら、夜まで待てない。」
「なっ、何言ってるんですか!仕事行ってください!!っ、ていうか、今、キス…!!」
「今のは行ってきますのキス。」
何だこの御曹司。めちゃくちゃバカップル体質じゃないか。
しかも、手慣れたようにさらりとやりやがる。
相変わらず、翻弄してくる色気には敵わない。
「じゃあね、美香。行ってきます。」
だが、彼がこうやって嬉しそうに微笑むものだから、私は何も言えなくなるんだ。
パタン、と閉まる扉。
ほんの数分の間に、抱きしめてキスをして出て行った。唇には、キスの余韻が残っている。
「…〜〜っ…。」
私は、顔を真っ赤に染めて、へなへなとカーペットに座り込んだのだった。