一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「まだかなぁ……」
時刻は午後八時。スマホを見ても、彼からの連絡はない。夜までには終わると言っていたが、仕事が長引いているようだ。
テーブルに並ぶのは、二人分のコーヒーカップ。
そして、贅沢すぎるスイートルームのキッチンには、ドリップしたエスプレッソがコンロにかけられている。
彼からのお願いには、しっかり応えなくては。
(それにしても…)
頭の中に今朝の彼が蘇る。
(あんなきっちりスーツで出かけるなんて、よほどの理由があるんだろうな。)
本社での仕事なんて、相当大きい案件だろう。しかも、社長がわざわざ呼び出すなんて普通じゃない。
ふと、樹さんの父親を思い浮かべてみるが、どうも想像がつかなかった。雑誌やテレビに引っ張りだこの樹さんと違い、社長がメディアに出ることはほとんどないからだ。
まぁ、久我の遺伝子をお持ちのお父様は、きっとお顔が整っていらっしゃるんだろうが。
…と、壁時計とスマホをチラチラ見ながら彼の来室を待っていた
その時だった。