一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
からかうようなセリフ。軽い性格だとはいえ、いつもの雰囲気とは少し違う。
突然の来訪に戸惑いながら、私は彼と対面するようにソファに座った。
「あの…、椿はどうしてここに?樹さんに用事なら、ここにはいないけど…?」
「あー、知ってるよ。今日は、美香に用があって来たから。」
「?」
きょとん、とまばたきをすると、椿は薄い笑みを浮かべたまま、さらりと想像を超える一言を放った。
「単刀直入に言うよ。…樹を、振ってくれないかな?」
「!」
一瞬、言葉の意味が分からなかった。
微動だにしない椿。冗談ではないらしい。
振ってくれ?それはつまり、遠回しに別れてくれと言っているのか?
突然の展開に頭が追いつかない。
すると、椿は膝に頬杖をついて静かに続けた。
「実は、樹が君に惚れ込んでるってことが一族で問題視されててさー。」
「え!」
「例のスキャンダルがあっただろ?…まぁ、樹が、美香とのスキャンダルが原因で親父から勘当されかけたってだけの話なんだけど。」
「!!」