一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
さらりと言われた割に、そのニュースは衝撃的だった。“だけの話”などというレベルではない。
「勘当されかけた?樹さんが?」
「うん。久我を背負う人間として自覚が足らないやら、女性問題で表紙を飾るなんて恥さらしにも程があるやら、色々ねー。ほら、ウチ、一応大財閥だからさ。」
ぞくり、と背筋が震えた。
縁を切られる間際までいくなんて相当のことなのに、彼は私に一言も言わなかった。
まさか、守ってくれていた?私が気に病まないために?
ズシン、と急に体が重くなったような気がした。久我樹と付き合うのがどれ程のことなのか、今さら自覚が芽生える。
椿は、私から視線を逸らさず言葉を続けた。
「で、樹も頑固だから、どれだけ圧力をかけられても君との交際を諦めなかった。…だから、社長は樹じゃなく、君を折らせる方向にシフトした。」
「え…?」
「今の言葉の意味、わかる?」
椿は、表情一つ変えずに、低く囁く。
「俺は、社長からの命を受けて日本に来たってこと。君と樹を、別れさせるためにね。」