一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ふっ…!
その時、窓際に立っていた私に、影がさした。わずかに暗くなった視界に顔を上げると、曇りないガラスにすらりとしたモデル体型の椿の姿が映っている。
背後の気配に驚いて、はっ、と後ろを振り返ると、そこには興味を惹かれたような瞳をした彼が、まっすぐこちらを見つめていた。
トン、と窓ガラスに手を突かれ、整った顔が私を覗き込む。
「いい加減、諦めたら?きっと、素直に俺を選んだ方が幸せになれるよ。家からの圧力もやっかみもないし。」
「…!そんな、同情みたいな愛はいらない…!」
「愛?」
微かに目を細めた椿は、嘲笑するように、ぽつりと低く呟いた。
「そーいうの、よく分かんないんだよね。何不自由ない暮らしがあって、それなりに恋人らしい営みをしたとして…それ以外に何がある?樹と俺は、さほど変わらないよ。」
「え…?」
「俺は、純粋に樹を信じられる君が理解出来ない。…もちろん、君に溺れている樹もね。」
心から言っているようなトーン。まるで、何も知らない子どものように呟かれた言葉。
…と、椿のセリフに心が揺れた
その時だった。