一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
唯に続くように、如月さんもにこりと笑って口を開く。
「美香ちゃん。樹によろしくね。」
心強い味方たちが、駆け出す私を見送った。
素早く仕事着を脱ぎ、シャツの上にカーディガンを羽織った。コツコツと廊下を走りながら、社員証をかざして裏口から飛び出す。
ランコントルホテルから空港までは、車で一時間半。…ギリギリ、出発前の彼に会えるかもしれない。
私は、期待を胸にひたすらコンクリートの道を走った。
しかし、急いでロータリーまで出た時、運の悪いことに駅に向かうバスも、タクシーもいないことに気がつく。
(今からタクシーを呼んだら、間に合わない…?どうしよう。大通りまで走って拾うしか…)
…と、焦って駆け出そうとした
その時だった。
ブォン!!
大きなエンジン音。
はっ!として振り返ると、そこに見えたのは黒いバイク。
颯爽とロータリーを横切り、目の前で止まったバイクに目を見開くと、ヘルメットの隙間から切れ長の瞳が見えた。
「っ、椿…?!!」
思わず声を上げると、彼はぶん!と私に向かってヘルメットを投げる。
「乗れ、美香!」