一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
時刻は午後九時。
大きな窓から見えるビル街は夜の闇に包まれていて、息を呑むほど綺麗な夜景が広がっている。
(本当に来るつもりなのかな…)
実際、私はまだ彼のことをよく知らない。急に来室されて共通の話題もないなんて、きっと気まずいだろう。
私は、ふとバックの中からパソコンを取り出し、カタカタと検索エンジンを開いた。
そこに、久我 樹、と打ち込む。
すると、画面に次々と彼の記事が表示された。雑誌で取材を受けた時のインタビューの様子や、基本情報が載っているようだ。
(えーっと…、誕生日は三月十四日…。へぇ、ホワイトデーかぁ。趣味はドライブとスノーボード…趣味までカッコいいんだ。)
久我、と検索しただけで、“久我樹 カッコいい”、“久我樹 プロフィール”、“久我樹 彼女”なんて出てくる。
どんだけ検索されているんだ、あの人。
(好きな女性のタイプ。…いつも笑顔で気配りが出来る女性。…ふーん。)
と、手当たり次第ページを開いていた、その時だった。
コンコン。
部屋をノックする音が聞こえた。思わず、ばっ!とソファから立ち上がる。
光の速さで扉に歩み寄った私は、ガチャ、とその扉を開けた。
そこに立っていたのは、ジャケットスーツを着こなした彼。
「こんばんは。入ってもいい?」
「!」