一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「…で?扉がオートロックだったっていうのをいいことに、一言も交わさず部屋を出てきたってわけ?」
「は、はい…。」
数時間後。
勤務先であるランコントルホテルに出勤した私は、同期である三嶋 唯(みしま ゆい)にすべての事情を激白し、心の底から呆れられたような視線を向けられていた。
「バカなの?!サラリーマンにお持ち帰りされるよりはマシだったとはいえ、無防備すぎ!!…というよりも、何も言わずに男を置き去りなんて、どこのドラマ?!」
「一応、お金は置いてきたけど…」
「ホテル代の話じゃない!!」
はぁ…、と額に手を当てた彼女。「…やっぱり、まずかったかな…」と呟く私に、目を細める。
「まぁ、起こったことは仕方ないよ。相手の名前も知らないんでしょ?」
「うん…。」
よく考えてみれば、相当常識はずれだ。
今でも自分の身に起こったことだなんて思えない。