一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
御曹司の甘い素顔
**
「あれ?美香、新しいリップ買ったの?」
従業員用の化粧室で鏡に向かっていると、唯に声をかけられた。
どきり、としながらも、平静を装う。
「あー…、うん。ちょっと、ケアしようかなと思って。」
「へぇ。女子力高いね。」
感心したように笑う唯。
ううん。違うんだよ、唯。私は、女子力が高いんじゃない。
『…ふふ。…ちょっとカサカサ。』
三日前にウチのスーパー御曹司にキスをされて、乾燥していて柔らかさが足りない、と微笑まれたから必死になっているの。
(二度と、カサカサなんて言わせるもんか…!!)
…と、そこまで考えて、はっ!とする。
何を私はムキになっているんだ?これじゃあまるで、キスされるのを期待しているような…
ガサガサガサッ!
急いでリップをポーチにしまい込む。きょとん、とする唯を横目に、私は深く息を吐いた。
恥ずかしい。
今日が彼との約束の日で、今日に向けてわざわざ薬局でリップを選んで、いそいそとつけていた自分が恥ずかしい…!