一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「えっと…、これが薬と、日持ちしそうな食材…。あと、一応栄養ドリンクとりんごを買ってきました。」
「ありがと、たすかる…」
リビングの机の上に、ドサ、と買い物袋を置いた。ガサゴソと袋をあさる樹さんを横目に、ちらり、と部屋の中を見渡す。
飾り気のない直線的なインテリアでまとめられたモダンスタイル。モノトーンやネイビーで統一された家具は、樹さんのイメージそのものだった。
所々に置かれたヴィンテージ感のある小物に目が惹かれる。
「片付けなくても綺麗なお部屋じゃないですか。」
「…んー…。綺麗、っていうより、物がないんだよ。ほとんど寝に帰ってるような感じだから。」
確かに、言われてみれば生活感がない。桐生さんが食材を差し入れるのも頷ける。
キッチンにはある程度調味料が揃っているが、鍋やフライパンは使い込んでいる形跡がない。冷蔵庫の中も、ビールと水だけだ。
(男の人の一人暮らしって、こんな感じなのかな。)
その時、ふとソファの前のテーブルにパソコンと書類の束があることに気がついた。
英語がびっしり並んだ書類は、見るだけでクラクラする。
「樹さん、これは?」
「……んー……」
「まさか、仕事してたんですか?」
私から、すっ、と目を逸らす彼。質問にも歯切れが悪い。