一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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コンコン。
数回ノックして、扉を開ける。おかゆを乗せたトレーを持ちながら、ひょっこりと顔を覗かせると、ベッドに横たわっていた彼が、もぞり、と起き上がった。
「…ありがと。入っていいよ。」
どきり、としながら、ぎこちなく寝室へ足を踏み入れる。ランプが乗ったサイドテーブルにトレーを置くと、彼は少しだけ体をずらして口を開いた。
「美香はここに座って。」
促されるまま、ベッドに腰を下ろす。
広いダブルベッドだ。
何かを意識しているわけじゃないが、落ち着かない。
「えっと…桐生さんにレシピを聞いてきたので、味は悪くないと思うんですけど…」
「うん。ありがとう。」
壁に寄りかかるように背中を預けた彼。私はなんの迷いもなく、お粥をよそった茶碗から一口分をスプーンにとる。
「!」
(?)
驚いたように私をじっ、と見つめる樹さんにきょとん、とすると、彼はわずかに口元を緩めて呟いた。
「…俺、自分で食べられるけど。」
「!」
はっ!とした。
あれ?確かに、なんで私は口に運ぶところまでやろうとしてるんだ?
でも、病人におかゆを作ったら、あーんして食べさせるまでが看病じゃないの?
(…っ、少女漫画を読みすぎた…っ!!)
「す、すみません…っ!失礼しました!!」
「あー、待って待って。勿体無かった。やっぱり食べさせて。」
「っ、もうしません!自分で出来るんですよね!」