一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
いくら考えたところで、答えは出なかった。彼の口から直接聞いたわけではない。
今更こちらから、私のことどう思ってるんですか?、なんて聞けないが。
もやもやとする中、素早く食器を洗い終え、しゃりしゃりとりんごを剥く。
(私、本当に惑わされてるなぁ…)
はぁ、とため息が出た。
それが嫌じゃなくなってる時点で私の負けだ。好きです、だなんて、こっちから言う勇気はないけれど。
スタスタ…
りんごを盛り付けた皿を手に、寝室へ向かう。
と、扉をノックしようとしたその時。部屋の中から、如月さんの声が聞こえた。
「…で?本当に付き合ってるの?二人は。」
(!)
つい、動きが止まった。
微かに漏れる話し声に、どきり、と心が軋むのがわかる。
“偽恋人”
その関係が変わったわけじゃない。
しかし、私の中では明らかにあの時より気持ちが前進していた。彼に惹かれ、どうしようもなくなっている。
すると数秒後、再び如月さんの声が聞こえた。
「試写会の前の日の夜、二人でホテルに泊まってたんだろ?記者たちの前でキスした時、俺は、本当に付き合ってるんだと思ってたけど?」