一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~

今度は、唯が喉にパンを詰まらせた。ドンドン、と胸を叩く彼女。

ゴホゴホと咳き込む唯は、パックのお茶をぐいーっ!と飲み干した。


「いきなり爆弾発言しないでくれる?一体どういうこと?」


スキャンダルが報じられたあの日。リムジンの中でネックレスを返され、ワンナイトラブをしたイケメンが樹さんだったことを知った流れから、これまでの経緯を説明した私。

唯は何度か気絶しそうになっていたが、やがて最後まで私の話を聞くと、息を吐いた。


「つまり、体の関係を持ったと思っていた久我さんの口から、抱いていないという衝撃の事実を告げられて今に至る、ってわけね?」


「うん。本人から言われたんじゃなくて、如月さんとの会話を盗み聞きしちゃったんだけどね。」


『あの夜は抱いてない。』


彼の声は今でもはっきり思い出せる。

あの一言が、私の全てを覆した。

ちくり、と胸が痛む。


(どういうこと、って…こっちが聞きたい。)


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