一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
「はー、瀬戸くんがチーフを任される時が来るとはねー!同期として感慨深いわ〜。それにしても、よくお客が集まったわね。ギリギリの告知だったのに。」
唯が腕を組んで深く息を吐いた。まるで母親目線で呟いた彼女に、瀬戸は目を細めている。
「まぁ、久我さんが直接指揮してくれたからな。お客の中にはあの人のツテでランコントルホテルのビュッフェスタイルを視察しにきた人たちもいたみたいだし。」
どきり、と鳴った胸が、とくとくと音を立て始める。やはり、どこにいても彼の名を聞くことになるらしい。
あの風邪の日以来、彼とは会えていない。
わざわざ来てくれてありがとう、とマメなLINEが来たものの、私は当たり障りのない返答をしただけだった。
「どうした?」
「え?」
ふいに、瀬戸が私の顔を覗き込んだ。彼のまっすぐな瞳がわずかに細められる。
「今日、なんか元気ないだろ。」
ぎくり、とした。
瀬戸にバレるくらい顔に出ていたのか。一方、やり取りを見ていた唯はニヤリ、と笑って呟く。
「さすが隠れ紳士。美香のことになるとよく見てるね〜」
「茶化すな。こいつが分かりやすいんだ。」