一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
ぷんすかと眉を寄せた唯だが、飲み会と聞いて俄然乗り気になったようだ。
膝に頬杖をついて私の顔を見上げた瀬戸は、すっきりとしたブラウンの瞳を細めて呟く。
「桜庭の唯一の長所は能天気なところだろ?おおかた、あの御曹司となんかあったんだろうが、お前の悩んでることなんて俺の悩みに比べたら蟻んこレベルなんだからさ。楽しく酒でも飲んでぱーっと忘れちまえよ。」
励ましているようで容赦なくけなされている気がする。一週間引きずっている私の悩みを、道端を歩いている蟻と一緒にしないでほしい。
しかし、瀬戸は人を気遣うのが上手い。下手に心配されるよりも気が楽だ。
さらに、妙に鋭い。悩みの原因をずばりと言い当てられ、ぐっ、と言葉を飲み込んだ。
「瀬戸に悩みなんてあるの?」
「あるに決まってんだろ。…どっかの鈍い誰かさんのせいでな。」
ふわり、と口角を上げた彼。言葉とは裏腹に、その口調は穏やかだった。
「行くだろ?」と尋ねた瀬戸の、わずかに緩んだ目元がやけに優しくて、私は彼の誘いにこくり、と頷いたのだった。