一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「かんぱーい!」
カチン!とグラスがぶつかる音が響く。ジョッキを片手に笑う人々は、唐揚げやサラダなどをそれぞれ小皿に取り始めた。
重い揚げ物がずらり、と並ぶテーブルは久しぶりだ。飲み会の雰囲気にだんだん気持ちが高揚していく。
ごくり、と喉を流れる刺激と泡の感覚に、じわーっ、と体が熱くなった。
(おいしー…!やっぱり、たまにはお酒もいいよねー…)
二十歳を超えてから、お酒を飲みながらの大人の付き合いが増えた。だんだんとアルコールの嗜み方を覚え、今ではストレス解消の手段になっている。
「おーっ!桜庭!飲んでるー?」
「あっ!美香ちゃん!久しぶり〜!」
他部署の同期が、次々と声をかけてきた。
この場に誘ってもらえたのは幸運だ。
ワイワイとした空気の中にいると、自然と気分が明るくなっていくのが分かる。
唯も私の隣でごくり、とビールを飲み干した。
「唯、相変わらずペース速いんじゃない?」
「んー?そんな事ないわよ。ほら、美香も好きなの頼みな!」
彼女のにこやかな笑顔につられ、メニューを手に取った。
ちょうどグラスが空き、さて、何を飲もうかと考え込んだその時。ふと、“彼”の声が頭をよぎった。
『これからも、俺の前では好きなの飲んでいいよ。…でも、他の男の前では酔い潰れたりしないで。』
『ベロベロになったあんたが他の男に手ぇ出されたらヤダから。』