一途な御曹司と極あま初夜事情~クールな彼は独占欲の塊でした~
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「あーあー。瀬戸くん、見事に潰されちゃって…」
案の定、空きグラスに囲まれてすやすやと寝息を立てている瀬戸に、唯が目を細めて呟いた。
揺すって声をかけると、「んー…」と気だるげに起き上がる彼。
泥酔、というより、無防備な女の子のような酔い方だ。瀬戸は、用意した水をくいっ、と飲み干して、ゆっくりと立ち上がる。
意識もあり、ちゃんと自力で歩けるようだが、どうもおぼつかない。二次会行く人ー!、なんて声が飛び交っているが、戦線離脱のほか選択肢がないらしい。
「私も抜けるから、タクシーで瀬戸を送ってく。」
「あぁ、お願いね、美香。」
自然とそんな流れになり、瀬戸に肩を貸すようにして店を出た。ぽわぽわとしている様子の瀬戸をタクシーに押し込める。
「住所は?」と尋ねると、「…こまごめ…」と低く返答が来た。
ブォン…、とタクシーが動き出すとともに、後部座席の二人の間に沈黙が流れる。
「ごめんね、瀬戸。大丈夫?気持ち悪くない?」
「…おー。」
ぶっきらぼうな返事。だが、体調は平気なようだ。だんだん眠気が覚めてきたらしい。額を抑えた彼は、低く口を開いた。
「一緒に抜けさせて悪いな。このままホテルいくか?」
「えっ!!!」
「ばーか、ランコントルホテルだよ。スイートに泊まってんだろ?」
紛らわしい言い方をするな。
ただの同僚といえど、私はワンナイトラブ事件以降、その手の単語に敏感なんだから。
意識しているわけではないが、動揺してしまった自分が恥ずかしい。
「いいよ、私のことは気にしなくて。そもそも私は酔っ払いを送るために付いてきたんだからね。」
「そりゃ、どーも。」