ワケあり同士による華麗なる政略結婚


「そう、、らしいですね。そうなった経緯は聞いています。でも重要な事はその事ではありません。1番重要な事は今、貴方があの子の事をどう思っているかという事です。」

『この結婚を受けたのも自分の条件に合う相手だったからです。、、昔から両親は忙しく幼少期から独りで過ごす事が多く、気づけば血の繋がった人間だろうと誰かと生活することができない体質になっていました。だからあいつの〝男性恐怖症〟を理由に逃げてきたんです。』

「そう、、貴方も大変だったんですね。」

『でもあいつと住み始めて、、自分でも信じられないんですが、あいつとの生活は穏やかで満たされる日々でした。あんなに他人の気配を感じるのが苦痛だったのに、、寧ろあいつの気配を探してしまうんです。それくらい俺の中で、あいつの存在は大きくなっています。、、、大事なんです。誰よりも、美麗の事が。』






初めて明かす胸の内をまっすぐ真剣な眼差しで主治医に伝えると、一瞬嬉しそうな表情を浮かべて直ぐに暗い顔をした。



「それを聞けてホッとしました。では〝男性恐怖症〟を発症してしまったキッカケを話したいと思います。あまり気分のいい話ではありませんので、覚悟されて聴いてください。」

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