ワケあり同士による華麗なる政略結婚

きっとあの女性が彼のいう受付嬢だろうか。






すっと目を細められ鼻で笑ったようなその女性と目があって、慌てて彼を見ると無表情な彼の横顔が映った。






並んで歩く真っ青の顔の女と無表情の男。



これではきっと妻であると、、夫婦であると信じて貰えない。

互いの事を何も知らない私達では、ただ寄り添って歩くだけでは父と母のような夫婦には見えない。





両親のように互いが想いあっていなければ。










そこで普段の2人を思い出して、彼をまっすぐ見つめた。




そしてオープンテラスの前を通り過ぎるタイミングで彼の会社の受付嬢である女性に聞こえるように声を掛けた。













「誠也さん、身体の弱い私の所為でいつも迷惑をかけてごめんなさい。でも、、、ありがとうございます。貴方の側に居れて、私はとても幸せです、、。」




そういって笑い掛けた。



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