ワケあり同士による華麗なる政略結婚
episode8
ホテルの一室から彼の後ろをついてフロントへ向かう。
向かう途中の廊下やエレベーターも彼以外の男性と一緒だったが、少し恐怖を感じたものの彼が側にいてくれたお陰か発作も起こらずフロントまで辿り着いた。
ホッとして小さく息を吐くと、チラリとこちらを見た彼が何故かフロントを横切ってロビーのソファーへと向かう。
「え?誠也さん?」
『手続きをしてくるからここで座って待っていろ。直ぐに戻る。』
そう言い残してフロントへと向かっていってしまった。
彼の向かったフロントの方をみると全て男性のスタッフで同じように手続きしようと待っている人間も全て男性。
、、きっと気を遣わせてしまった。
でもその優しい気遣いも嬉しくて、頬が緩む。
すると同じようにソファーに座っている女性のガールトークが耳に入った。
「ねね、見て。あのフロントにいる人。凄いカッコいいよね。」
「本当だぁ〜!長身で黒のロングコートの人でしょ!カッコイイっ!!!もしかして一人かな?声掛けてみる?」