ワケあり同士による華麗なる政略結婚

たどたどしい口調だが、どうにか明日の予定のやり取りができてホッとする。

会話が終わった所で丁度タクシーが止まり、降りて深々と頭を下げる。







「送って下さってありがとうございました。貴方の妻だと周囲から認めて貰えるように努力致しますので、どうぞ宜しくお願いします。」

『、、あぁ。』






素っ気ない言葉が返ってきて、緊張しながら顔を上げようとするとエンジン音が聞こえた。

視界には、そこにある筈の彼を乗せたタクシーが遥かに遠く見えた。







気を、、遣わせてしまったのだろうか。



でも彼から解放されて熱くなっていた身体と煩かった心臓は元に戻っていた。

こんなんで本当に彼の妻としてやっていけるか心配になったが、頬を叩いて自らを奮い立たせた。






こうして、、家族の為、そして自分自身の為に男性恐怖症を絶対に治してみせると決意した怒涛の1日が終わりを迎えたのだった。


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