ワケあり同士による華麗なる政略結婚
『どうした?もしかして、、何処か痛むのか?』
いつのまにかシャワーを終え、バスローブ姿の彼がベットの縁に立っていて身を屈め涙を優しく掬った。
こんなに優しい彼にこれ以上の事なんてきっと望んじゃいけない。
手で涙を拭って一度彼から目を逸らし、必死に笑顔を貼り付けた。
「目にゴミが入ってしまって、、ご心配をお掛けしてすみません。」
『、、今、目を逸らしたろ。言いたいことがあるならちゃんと言えよ。言わないと分からない。』
「いえ、、何でもありません。」
真っ直ぐ彼を見つめて答えると、溜息をついてベットから離れていった。
バスローブから着替えた彼が無言でベットまで戻ってきて、また抱き抱えられた。
「誠也さんっ、、!自分で歩けます!!だから降ろして下さい!!!」
『浴室でも立てずに座りこんでたろ。いいから黙って運ばれてろ。』
「フロントには人だっているのに恥ずかしいですっ、、、!!!」
『ここのフロントには誰も居ないから安心しろ。グダグダ言ってないで行くぞ。』
フロントに人が居ないなんて、、そんなホテル初めてで戸惑ってしまう。
私を軽々と抱え彼は、部屋を出ると無人のフロントを通り過ぎ駐車スペースへと足を進めた。